副業として人気のせどり。
安く仕入れて高く売る というシンプルなビジネスですし、
早い段階で成果を出す人も多いのではないかと思います。
そこで気になってくるのが、はたして「開業届」は出すべきなのか、
出さなくても平気なのか…ではないでしょうか。
今回の記事では、
「開業届の提出が必要になるのはどんな時?」
「開業届を提出しないとデメリットってある?」
「どうやって提出したらいいの?」
などの疑問について、解説していきます。
副業でせどりを行っているあなたの「開業届」に関する悩みを、
少しでも和らげることができたら嬉しいです。
副業でせどりをやるなら開業届は必要
結論からお伝えすると、
「ある条件を満たした場合」に開業届の提出は必要になります。
せどりで副業を行っている人が開業届について知っておくべきことを、
1つずつお伝えしていきます。
なお、開業届を提出したから申告&納税義務が発生するわけではありません。
ここを勘違いしている人が多い気がします。
開業届を提出していなくても、
せどりで年間20万円超の所得(≒利益)がある人は申告&納税義務が発生します。
逆に開業届を提出していても
年間20万円未満の所得(≒利益)であれば、そもそも申告しなくてOKです。
事業所得が生じるなら開業届が必要
今更ではありますが、まず開業届とは何なのか?
ここから解説していきます。
開業届は「事業を始める人が提出する書類」を意味します。
この「事業を始める」という箇所がポイント。
事業を行うことで得る収益のことを「事業所得」と言います。
実際に国税庁のHPでは、事業所得を「農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得」と記載しています。
しかし副業(=本業があるので常に行っているわけではない=不定期)
という認識のもと、事業所得ではなく「雑所得」として扱われることが
多いのが実情なのです。
提出するのも面倒だし雑所得として扱われるのであれば、
開業届を出す必要なんてない!って思ってしまいますよね。
それでもこの記事にたどり着いたあなたには、
「ぜひ提出するべきである」とお伝えしたい。
詳しい理由は、後ほど述べます。
提出しないくても罰則はない
「事業を始める人が提出する」開業届ですが、
実は未提出で事業を行っていても罰則はありません。
しかも追加すると…
提出する場合も期限があり
「事業開始から1ヶ月以内」に提出することが原則になっています。
しかしこれについても、提出せずに期限を過ぎてしまっても罰則などはありません。
このことを知って、少し胸をなで下ろした方もいるのではないでしょうか。
じゃあ、何のために提出するのか?って疑問に思いますよね。
次はいよいよ、私が開業届を出した方がいいと考える理由
(=開業届を提出しないことの悪影響=デメリット)をお伝えします。
開業届を提出しないデメリット
デメリットは「青色申告ができない」こと。
これに尽きます。
確定申告には「白色」「青色」という2色の申告方法がありますが、
開業届を出すことで行えるようになるのが「青色申告」
青色申告を行うメリットは大きく3つあります。
- 最大65万円の控除
これは大きな節税効果になるので、
青色申告の1番わかりやすいメリットではないでしょうか。
例えば、年間で100万円の利益(≒所得)が出たと仮定します。
確定申告で支払う所得税は、所得×税率(所得金額によって変わる)で計算されるので…
白色所得で確定申告をした場合の税金は、100万円×5%=5万円。
しかし青色申告にすることで利益(≒所得)が35万円(100ー65万円)になるので、
税金は35万円×5%=17,500円となります。
開業届を出すか出さないか、それだけでこれだけ税金に差が出てくるのです。
(詳細に話すと、開業届と一緒に「青色申告承認申請書」も提出する必要があります)
今回は100万円で計算しましたが、より多くの利益を出すようになれば、
その節税効果はもっと大きくなって現れてきます。
- 損失の繰越控除
青色申告を行うことで、
損失(=赤字額)を3年間繰越控除することができるようになります。
先ほどと同様に、青色申告をすることの大きなメリットです。
これだけではわかりづらいと思うので、例を出しますね。
例えばある年に、300万円の損失(=赤字)を出してしまいました。
そして翌年200万円の利益を出したら、本来支払うべき税金は、
200万円に税率を乗じて計算された金額になるはず。
しかし「損失の繰越控除」ができるので、前年の損失額を控除できるのです。
税金計算してみると…
利益=200万円ー200万円(前年の損失額300万円から200万円分を活用)=0円
になるので、税金の支払いがゼロに。
また翌年も利益が100万円出たとします。
2年前に出した損失300万円の内、200万円は前年に使ってしまいましたが、
まだ100万円は余っています。
税金計算をすると…
利益=100万円ー100万円(繰越控除可能な損失額100万円分を活用)=0円
となり、この年も税金支払いはゼロになるのです。
事業を行っていく上で、損失を出すことは良いことではありません。
しかし青色申告を行うことで、
そんなマイナス面もプラスに作用させることができるのです。
- 青色事業専従者給与
この言葉だけを見ると「?」になりそうですが、
「家族への給与を経費計上できる(=節税できる)」ことを意味します。
白色申告だと家族への給与支払は、経費として計上することができません。
現時点では副業として1人で行われている方がほとんどだと思うので、
これについてはメリットを感じないでしょう。
しかしせどりを継続して行っていき、
ビジネスとして事業も拡大し、
家族に給与を支払いつつ手伝ってもらう時が来るかもしれません。
来るべきその時をイメージしながら、せどりを頑張りましょう!
上記3つ以外に、デメリットとまでは言えないかもしれませんが、
開業届を提出することで可能になることがあります。
- 屋号を持てる
法人でいう会社名のようなものを持つことができます。
だから何?と思われるかもしれませんが、
屋号を持つことで問屋からの信頼がアップします。
「事業」として視覚的に判断することができるからです。
- 個人事業主としての銀行口座、クレジットカードを持てる
個人口座&カードと分けることで、せどり専用のお金の流れを把握しやすくなります。
また、資金調達時の審査が通りやすくなります。
開業届の提出方法
開業届は、税務署に行けばもらうことができます。
必要事項を記入して、「税務署に提出するだけ」で完了です。
提出方法は、「持参」「インターネット」「郵送」の3つ。
提出時に手数料の支払いなど、お金がかかることはありません。
なお、前述の青色申告を行いたい場合は
「青色申告承認申請書」も同時に提出する必要があるので注意しましょう。
副業でせどりをやるなら開業届は必要かまとめ
開業届について、例え副業だとしても提出しておくべき
メリットを紹介してきましたが、いかがでしたか。
- せどりで稼ぐことを決意しらなら開業届は提出しよう
- 提出しなくても罰則はなく せどりを続けることは可能
- 開業届を提出すれば「最大65万円の控除」「損失を3年に渡って繰越控除」が可能
- 開業届は税務署に「持参」「インターネット」「郵送」で提出できる
確かに提出する手間はかかってしまいます。
しかし副業とは言えせどりをビジネスとして行っていく以上、
開業届を提出しないことはデメリット面の方が大きいのではないでしょうか。
これからせどりを始めようと考えている方は、
是非とも開業届の提出を前向きに考えてもらえたら嬉しいです。